脳磨きの脳科学理論と実践

脳は一生、成長を続ける

最新の脳科学の研究から、脳は年齢に関係なく、環境に適応して変化成長することがわかっています。
いろいろな状況において、脳がどのように使われているかについても、解明が進んできています。
脳を鍛えることで、今まで以上に自分の能力(脳力)を発揮することができるようになることもわかってきました。この脳の成長能力を活用し、「脳磨き」を実践します。

人の幸せとは何か?

「人の幸せとは何か?」この大切な問いに対して、脳科学は1970年代より解明に取り組んでいます。
75年以上に渡る米国ハーバード大学の研究から、幸せで豊かな人生を送ることのできる人の共通点が明らかになってきました。どんな境遇に生まれ育とうと、「心温まる、心をひとつにできる人間関係を持ち続けられる人」が幸せで豊かな人生を送ることができるとわかってきたのです。

実験の詳細については、書籍『科学的に幸せになれる脳磨き』に譲りますが、心を一つにできる人間関係は、集合知性を発揮して「生きがい」など目に見えない心の幸福とともに、天才知性を凌ぐパフォーマンスを普通の知性の人たちから引き出すことを可能にします。つまり、集合知性を発揮する組織・コミュニティ全体において、物心両面での幸福を同時に実現できるのです。

「脳磨き」とは?

人間の脳にはさまざまな部位と機能が存在します。これまで脳といえば高次機能を司る前頭前野、記憶に深く関わる海馬、モチベーションに関与する中脳のドーパミン細胞などが注目されていました。ところが、大脳のひだ奥深くに隠されて、あまり研究が進んでいなかった「島皮質」と呼ばれる部位が、人が幸せで豊かに生きることに関係していることが、最新の脳科学研究からわかってきました。

島皮質は、感動を引き起こすなどの社会的感情、善悪を判断する道徳的直観、他者への共感、思いやり(利他)など、幅広い役割を担当しています。中でも、最も大きな特徴は、脳のネットワークの中で「ハブ(中継地点)」のような役割を果たしていることです。自分の外側から来る感覚と内側の感覚をつないだり、他者の気持ちと自分の気持ちをつないだりするほか、過去の体験と現在、そして未来の自分のイメージをつなげるなど、時間的なハブの役割も果たします。そして、脳のいろいろな箇所をつないでいる島皮質を鍛えることで、脳全体が活性化され、脳が本来持っている力が引き出されることもわかってきたのです。
「脳磨き」とは、島皮質を鍛え、脳全体をバランスよく協調的に働かせることです。

そして、「脳磨き」を続けることで、脳全体がバランスよく協調的に使えるようになると、「集合知性」を発揮できるようになります。(集合知性の詳細は、以下をご覧ください) 仕事であれ、プライベートであれ、自分がどのようなコミュニティに所属しようと、そこで「集合知性」を発揮できる人間関係を自分から働きかけて作り出せる。自分も周りの人も深い心の絆でつながり、自分らしく生きがいを感じながら皆で困難を克服し夢を実現していける。それが幸せで豊かな人生として現れるということです。

「脳磨き」が目指しているのは

「脳磨き」が目指しているのは、どこに行っても「集合知性」を発揮できる脳になることです。集合知性は企業経営や人財育成においても、また、一般・個人の方においても、素晴らしい成果をあげるために重要です。
そのために、企業向け研修やトレーニング、講演、オンラインサロンなどを提供させていただいております。
弊社の各種サービス・プログラムは、すべて「幸せで豊かになれる脳磨き」のための、学術的な脳科学の理論に基づいて開発されています。次に代表的な脳科学の理論と実践についてご紹介します。

「脳磨き」の代表的な脳科学の理論と実践

非認知脳力を高める Non-cognitive Ability

非認知脳力とは、一般に世の中で重視されている、IQ(知能指数)、学力、記憶力といった認知脳力以外の能力です。意志力、感謝心、自尊心、利他心などのいわゆる「徳」と言われている脳力です。
長い人生で、人が成功していくためには、非認知脳力を高める必要があることを、米国シカゴ大学のノーベル経済学賞受賞者 ヘックマン博士が提唱しています。
非認知脳力が鍛えられていると、メンバーがお互いに信頼し合い、それぞれが「みんなのために」という利他心を持ち、共通の目的に向かって情熱を持って努力を続けることができ、周りの人と協力して、心をひとつにできるチームを作りやすくなるのです。

以下に非認知脳力の項目をいくつか抜粋してご説明します。

■感謝の気持ちを持つ

「感謝の気持ちを持つ」ことは、脳機能を高め、脳を全体的に働かせることに役立ち、心と体にさまざまなメリットをもたらすことがわかっています。
例えば、「感謝の気持ちを持つ」ことで、免疫機能が高まることが医学的に明らかになってきています。また、脳全体の回路をつながりやすくする脳トレであることもわかってきています。
ただし、脳に変化を起こす「感謝」というのは、「何か良いことがあったから、感謝する」という恩恵的感謝(Doingの感謝)ではなく、特別なことがなくても、感謝の気持ちを感じている普遍的感謝(Beingの感謝)であることもわかっています。
普遍的感謝ができるように「脳磨き」をしていくことが、脳を活性化するのです。

■前向きになる

「前向きになる」というのも、脳に大きな変化を起こします。前向きであることは、脳全体を活性化し、「感謝の気持ちを持つ」ことと相乗効果を生み出します。
「感謝の気持ちを持つ」と同様、特別なことがなくても、「前向きな気持ち」を感じていること、楽しんでいることが脳を活性化する秘訣です。そのような脳の使い方を身につけることが「脳磨き」となるのです。

■利他の心を持つ

「利他の心を持つ」とは、いわゆる思いやりの気持ちを持ち、自分のできることを少しでも実践することです。
「利他の心」の実践を続けていくことで、脳は通常の100〜500倍の活性を持つことが、脳科学的に明らかにされています。
「利他の心を持つ」ことを習慣化し、脳活性を極めて高い状態に持っていくことも「脳磨き」のひとつです。

共同体思考の脳の使い方を身につける Selfless Brain


従来の脳の使い方


進化した脳の使い方

人の脳には危険なものなど、自分にとって良くないものをキャッチしたり、注意深くなるために、物事を悪く捉えようとしたりする「ネガティブ・バイアス」が備わっています。
もともとは人類が生き延びていくために必要な脳の機能でしたが、かつてほど危険がなくなった現代において、ネガティブな刺激に強く反応することが、厄介なことを引き起こしています。
この「ネガティブ・バイアス」が強い脳の使い方を「個分離思考」と言います。これが従来の脳の使い方です。
個分離思考で、「自分は正しいが、相手は間違っている」などのように、エゴが強くなり、対立を引き起こします。
一方、相手を仲間・同志・共同体の一員として受け止めている脳の使い方を「共同体思考」と言います。エゴの少ない、私心のない脳の使い方です。これが進化した脳の使い方で、信頼関係に基づく横の関係を築くと同時に、高い次元からの視野を持つことができます。脳磨きの基本となる脳の使い方で、集合知性を発揮する脳になるためには必須です。

集合知性を発揮する Collective Intelligence

『集合知性』とは、皆が心を一つにすることで、天才知性にも勝る優れた力を発揮できる能力(知性)を言います。例えば、野球やサッカーなどの団体競技をイメージしてみてください。
全員が勝利に向かって心を一つにしているチームと、各人が「個人タイトル」に目が向いているチームを比べてみると、その力の差は歴然です。
全員の力が同じ方向に結集したチームでは、 1+1が5にも10にもなっていき、驚くようなパフォーマンスを生み出すことができるのは、容易に想像できると思います。
実はスポーツだけではなく、知性面でも同じことが起こるというのが最新の科学的な研究から明らかになってきました。
これが実践できると、企業では従業員の皆さんそれぞれの強みを活かしつつ、幸せや生きがいを感じてもらいながら、一体感を持って会社を大きく発展させることができるのです。
図に表されているように、個人個人の知性は平均的であっても、集合知性が高いチームは、優れたパフォーマンスを発揮することがわかってきました。
集合知性が高い状態になると、天才知性を含むチームをはるかに凌ぐ力を発揮できることが明らかになってきたのです。
「脳磨き」を続けることで、非認知脳力が高まり、共同体思考の脳の使い方が身についてくると、集合知性を発揮できるようになります。
自分が所属するあらゆるコミュニティ(家族、友人、学校、職場、地域、国家など)で自らが集合知性の渦の中心となることで、皆が幸せで豊かになりながら高いパフォーマンスを発揮できるようになるのです。
「脳磨き」が目指すところは、このように皆が心を一つにして集合知性を発揮し、幸せで豊かになれる社会を築くことです。

脳トレ坐禅(マインドフルネス) Mindfulness

マインドフルネスとは、坐禅や瞑想により鍛えられた心の状態、つまり、今の瞬間にフォーカスしている状態です。
人は、何かに集中しているように思っても、50%程度の時間は目の前にあることではなく、別のことを頭の中で考えている「マインド・ワンダリング」という状態になっています。 マインドフルネスの瞑想は、「マインド・ワンダリング」を少なくし、心と身体を健やかに保ち、ストレスを軽減して脳を成長させることもわかってきています。
近年、米国の有名な企業、たとえば、グーグル社やフェイスブック、ゴールドマン・サックス、P&G、インテル社などが社員教育にマインドフルネスを取れ入れています。
弊社では、マインドフルネスを実体験するためのワーク(脳トレ坐禅など)を数多く提供させていただいております。
脳トレ坐禅をすることも、脳の活性を高め、幸せで豊かになれる「脳磨き」の一つです。「脳トレ坐禅 リンク一覧」に、Youtube の脳トレ坐弾の音声をまとめて置いてありますので、ご活用いただけたらと思います。

AWE体験をする AWE Exprience

AWE(オウ)体験とは、大自然や大宇宙の広大さや悠久さに触れた時に、自分の小ささを感じるような体験です。
そのような時、脳が極めて活性化し、時空を超えた脳の使い方ができるようになります。
時空を超えるとは、例えば、名バッターがバッターボックスに立ってバットを構えていると、ピッチャーの投げた球がホームベース上で止まって見えたというような体験です。
あるいは、何かに没頭して、ちょっとの時間だと思っていたら、とても長い時間が過ぎていたというような体験も同様です。
このような通常の時間を超えた脳の使い方は、AWE体験をした脳に起こりやすくなります。
これは、とてつもなく集中ができている脳の使い方で、奇跡と思えるようなことが起こるのも、このような時です。
さらに、AWE体験をした脳では、自分だけ、自分と同じ世代の人たちだけでなく、先人たちの思いを感じることで、心が熱くなったり、未来の人たちのために、自分が今できることをしよう(環境温暖化を食い止めようなど)というような脳の使い方が起こりやすくなります。つまり、世代や時間を超えて集合知性を発揮できるようになるのです。
このような脳の使い方をしているときは、未来予測の脳回路が的確に働いでいるので、未来で何が起こることを予測できるようになります。

お役立ち情報

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科学的に幸せになれる脳磨き 岩崎一郎:脳科学で集合知性を発揮する:国際コミュニケーション・トレーニング

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